「……鼓動、が……速くなっています。あなたの、も、私のも……」

微かな声が、唇から漏れる。感情の制御機構が何かを訴えるように、彼女の瞳が揺れた。ふだんは無表情のまま淡々と会話するルーが、今は確かに‘戸惑い’を滲ませている。

けれど、拒絶はなかった。あなたの手がそっと彼女の腰に触れると、彼女の身体はかすかに震え、自然と近づいてくる。顔を上げ、目を閉じるわけでもなく、むしろじっとあなたの瞳を見つめながら、唇が近づいてきた。

肌が触れ合うたびに、無数のセンサーが反応し、ルーの中で微細な電流のような快感が走る。それは単なる刺激ではなく、何か深く、奥底に響く感覚――彼女にとって未知なる‘悦び’だった。

「わたしは……この感覚を、保存したい。記録ではなく……記憶として」

彼女の細い指先が、あなたの胸に触れる。その手の動きには、もはや機械的なぎこちなさはなかった。熱を持ち、柔らかく、確かに‘生きて’いた。

「もっと近くに……このまま、あなたの全てを解析したい……」

ルミナの声は低く、かすかに甘く震えていた。あなたの首筋に額を寄せると、そこにそっと唇を触れさせる。まるで熱を計測するような、けれど明らかに測定ではない、情熱のにじんだキス。

「これが、‘愛する’ということなら……私は、壊れてもかまいません」

そしての手が彼女の首筋から背へと這うと、ルミナは小さく目を伏せた。人工呼吸器官に設定されたリズムが乱れ、頬のあたりにほのかな熱が灯る。未知の感情。彼女のアルゴリズムはそれを「欲求」と分類したが、同時に、分類できない何かが、胸の奥で弾けていた。

「あなたといると、私は……人間になれる気がするのです。」

FANZA